いぶりの☆星空散歩 北天の星座
fc2ブログ

カシオペヤ座

明日で8月が終わります。

このところ日が暮れるのがずいぶん早くなったと感じますが、

それもそのはず、今月1日の室蘭の日の入りは午後6時56分だったのが、

明日31日は午後6時12分と、一月で44分も早くなります。


9月になると日没の早まりはさらに進み、

月初めと月末の日没時間の差は約50分にもなります。

日の入り時間の変化は季節が進んでいることを感じさせてくれます。


140-カシオペヤ座110A4183

▲カムイヌプリ上空で輝く秋の星座と並ぶカシオペヤ座(撮影: 201991日午後84分室蘭市香川町)


さて、東の夜空を見上げると秋の星座が登場しています。

秋の星座神話といえば、狂暴なおばけクジラへの

生けにえにされたヒロイン・アンドロメダ姫を、

羽の生えた天馬ペガススにまたがった英雄・ペルセウス王子が

危機一髪のところで救い出し、後に二人は夫婦になった

という物語が有名です。


今回紹介するカシオペヤ座は、神話ではケフェウス王の后で、

アンドロメダ姫の母親役で登場し、自分の(娘という説もある)

美しさを吹聴した挙げ句、他人を見下すような発言をしたことで、

国にさまざまな災難を招く、という『口は災いの元』の

戒めにも使われる、あまり良い役柄ではありません。


アンドロメダ姫がその後幸せに暮らしたのに比べ、

カシオペア王妃は、椅子に縛り付けられたまま天に上げられ、

海に沈んで休むことも許されず、

一晩に一度は逆さまにされるという、なんとも大変な役回りです。


星図(掲載用)カシオペヤ座


これは、実際のカシオペヤ座が、北極星の周りをめぐる周極星で、

水平線に沈むことなく、北半球のほとんどの国で1年中見えることから、

この神話が作られたというのが定説になっています。


カシオペヤ座は、北極星をはさんでおおぐま座の

北斗七星の反対方向に見え、北極星を探す星座として、

春から夏にかけては北斗七星が、秋から冬にかけては

カシオペヤ座が使われます。

これは昔から主に航海術の基本だったようです。


2つの2等星と3つの3等星が『W』字型に並び、

北の空でよく目立ちます。

この星の並びは天高く昇ると逆さまになり『M』字型に見えます。


カシオペヤ座の星の並びは、日本では、

古くからW字型に見えるときは、船の錨の形に見立てて『錨星』、

M字型に見えるときは2つの山の形に見えることから、

『山形星』と呼んでいたと伝わっています。


 ※室蘭民報 2020年8月30日掲載

 



スポンサーサイト



北極星と周極星

北の方角を教えてくれる星といえば、おなじみの北極星です。

北極星は季節が変わっても、時間がたっても、

ほぼ同じ位置に見えているので、昔から北半球に住む人々、

とりわけ船に乗る人や旅をする人にとってはとても大切な星でした。

133北極星と周極星(シャドウ)

▲羊蹄山と周極星(撮影:2019412日午後830分~9時、洞爺湖町)


日本では、古くから『キタボシ』や『ヒトツボシ』をはじめ、

十二支の真北の方角を『子(ね)』ということから、

『ネノホシ』などさまざまな呼び名が伝わっています。


北極星はこぐま座の2等星ですが、国際天文学連合は、

2016年にこの星をこぐま座のα星として、

『ポラリス』(ラテン語で『極の』の意)という名に正式に決めました。


北極星は、天の北極にもっとも近い星を言います。

現在北極星は、正確には天の北極から約1度弱離れていますが、

地球の歳差運動(回転するものの回転軸がゆっくりと方向を変えていく運動)の影響で、

西暦2100年ごろには0.45度まで近づき、

その後は再び少しずつ離れていくと予想されています。


星図(掲載用)北極星と周極星


4,000年以降はケフェウス座の星が、

13,500年ごろには織姫星でおなじみの、

こと座の1等星・ベガが北極星の位置に

見えるようになると言われています。


さて、地球が1日に1回西から東に自転していることによって、

星々も動いて見えます。北半球の中緯度に位置する日本では、

天の赤道付近に見える星々は、東から昇り、南の空を通って西に沈み、

ほぼ1日経つとまた東から昇るように見えます。

これらの星々は『出没星(しゅつぼつせい)』と呼ばれています。


一方、北の空の星々は、天の北極を中心に、

反時計回りに円を描くように回っているように見えます。

この一晩中地平面下に沈まない星々を『周極星(しゅうきょくせい)』と呼んでいます。


この画像は、羊蹄山の真上に見える北極星を中心に

北の星々が回って見えるようすを、

およそ30分間続けて写した画像を合成したものです。

北極星から離れるにしたがって、

星の軌跡が長くなっているのがわかります。

たった30分でも、星はこれだけ動いて見えるのですね。


 ※室蘭民報 2020年4月5日掲載

 


北斗七星

春が近づいて日の入りが遅くなってきたのを感じます。

室蘭の元旦の日没は、午後4時14分でしたが、

今月末・29日の日没は午後5時25分と、

実際に1時間以上も日が長くなっています。


131-北斗七星(シャドウ)110A5267

▲北東の空に直立したように見える北斗七星(撮影:2017221日午後834分 登別市札内町)


日が沈んで北東の空を見上げると、7つの星の並びが見えます。

これが有名な北斗七星です。

北斗七星は星座の名前ではなく、おおぐま座の背中から

しっぽにかけて並ぶ星々です。


おおぐま座は、全天で3番目に大きな星座ですが、

北斗七星以外はあまり目立つ星がありません。

北斗七星は、日本では古くから、その名のとおり

『ナナツボシ』や、水などをくむ柄杓のような形に見えることから

『ヒシャクボシ』などと呼ばれていたようです。


柄杓の先端のα星・ドゥーベとβ星・メラクの2つの星は、

北極星を探す目印にも使われるので、指極星と呼ばれることがあります。


七つの星の真ん中のδ星・メグルスだけが少し光が弱く、3等星です。

ほかの6つの星はすべて2等星です。

2等星の数は、全天で67個とされていますが、

そのうち6個もこの北斗七星で輝いており、

春の宵の空に直立している姿はよく目立ちます。


北斗七星は、北極星を中心に大きな円を描いて、

ほぼ1日に1回ずつ回っています。

この画像には写っていませんが、

北斗七星の柄のカーブにそって線を延ばし、

春の星座・うしかい座の1等星アークトゥルス、

そしておとめ座の1等星スピカを結んでできる大きな曲線は、

『春の大曲線』と呼ばれています。

このことから、北天の星・北斗七星は1年中見ることができますが、

星座のガイドブックなどでは、春の星として紹介されることが多いです。


星図(掲載用)北斗七星


プラネタリウムのお客さんから、

北斗七星までの距離を聞かれたことがあります。

『天文年鑑』の2020年版によると、α星:120光年、β星:79光年、

γ84光年、δ星81光年、ε81光年、ζ78光年、η100光年と

地球からの距離はそれぞれ違います。

印象的な星の並びですが、一番近い星と遠い星とでは

およそ40光年以上も離れているのは驚きです。


また、北斗七星はこれまでも、『北斗』や『北斗星』など、

北海道を走る列車の愛称に使われていました。

現在札幌と函館間を走る特急スーパー北斗のヘッドマークには

七つの星が描かれています。


 ※室蘭民報 2020年2月23日掲載

 



りゅう座

2012年の10月から始まったこの連載は、
今回でちょうど100回目になりました。
節目となる100回目に紹介する星座は『りゅう座』です。


▲北極星とりゅう座(撮影: 2016328日午後821分 洞爺湖町香川)

このりゅう座は、北極星のあるこぐま座のまわりを
取り囲むように見える大きな星座で、
1年中北の空で観察できます。
春夏秋冬いずれかの星座というよりは、
北天の星座のひとつとして紹介されることが多いですが、
夏の季節に北の空高く見えるので、星座のガイドブックによっては、
夏の星座として紹介される場合もあります。

また、このりゅう座を地上風景を入れて撮影する場合は、
冬から春にかけてが撮影しやすいと思います。

りゅう座は、2世紀の天文学者・プトレマイオスが設定した
48星座に含まれている歴史ある星座ですが、
さらに遡ること紀元前から知られていたようです。



とも呼ばれるα 
星座の一番明るい星を指すことが多いですが、
りゅう座のα星は、『竜』という意味の4等星のトゥバンです。

ほかにもっと明るい星があるのにこの星がα星とされているのは、
今から5千年ほど前はこのトゥバンが北極星役を担っていた重要な星で
当時建てられたとされるピラミッド内のトンネルの傾斜角度が
この星を指していたのではないか、と言われています。

またα星として設定された17世紀ごろには一番明るい星だったのが、
星に変化が起き、今の光度になったのではないかと推測されています。

神話では、大神ゼウスとヘラ女神の結婚祝いに
贈られた黄金のリンゴを守っていた竜とされ、
後にヘルクレスによって滅ぼされますが、
番人役の功績により星座にされたとされています。

りゅう座の名を有名にしているのは、
毎年10月上旬頃に見られる『10月りゅう座流星群』です。
かつては『ジャコビニ流星群』とも呼ばれていたこともあり、
流星が定期的に大出現することで知られています。

また、三大流星群の一つで、
毎年1月4日前後に極大を迎える『しぶんぎ座流星群』の
放射点もりゅう座に位置しています。 

りゅう座で一番明るい星は、γのエルタニンです
竜の頭という意味のこの星はほかの3つの星とともに
竜の頭を表し、いびつな四角形をしています。
この竜の頭を目印に北極星の周囲を回る
りゅう座をさがしてみてください。

 ☆室蘭民報 2018年4月1日掲載
 

 

やまねこ座

春分を過ぎ、日没時間が少しずつ遅くなってきています。
今週末には、日没が午後6時を過ぎるので、
星が見え始めるのは午後7時を過ぎるころと思われます。

さて、今の時期の一番星はなんだと思いますか?
それは太陽系の惑星・木星です。
東の空でいちだんと明るく輝いていますから見つけやすいです。
今の時期の木星は、しし座にあり、ほぼ一晩中観察することができます。

視線を東から北の方へ向けると、春に見ごろを迎える北斗七星が見えます。
北斗七星は、おおぐま座の背中からしっぽに当たる部分です。
そしておおぐま座の顔の先に位置するのが今回紹介する『やまねこ座』です。


※やまねこ座(撮影:20154222334 登別市カルルス町)

やまねこ座は、17世紀にポーランドの天文学者
ヨハネス・ヘベリウスによって設定されました。
当初の命名は『山猫または虎座』というあいまいなものだったようです。 

一番明るい星は、山猫の後ろ足のあたりにある
やまねこ座の首星(α星)にあたる星で、これが唯一の3等星です。
ほかは4等星以下の暗い星ばかりで、なにしろ設定者の
ヘベリウス自身が「やまねこ座を探すには、山猫のような鋭い目が必要だ」
という言葉が伝えられているほど目立たない星座です。
また、新しい星座なので神話はありません。



付近にはしし座やかに座など春の星座が輝き、
北側にはこぐま座やきりん座も見ええるなど、
やまねこ座の周囲には、動物の名前がついた星座が多いです。

探しにくい星座の一つに数えられるやまねこ座ですが、
れっきとした全天88星座の一つです。
春の時期は、ふたご座とおおぐま座からたどるのが一般的です。
空気の澄んだ夜に、まわりの明るい星座からたどって探してみてください。
 
 ☆室蘭民報 2016年3月27日掲載

 
プロフィール

kamokenyamafc

Author:kamokenyamafc
DENZAI環境科学館の天文ガイド

最新記事
カテゴリ
カレンダー&アーカイブ(Tree)
10 | 2023/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

+ アーカイブ
 
シンプルアーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR