皆既月食 2014
2014年10月の満月は8日です。
ところがこの日の満月は、時間とともに欠けたり満ちたりします。
そしてやや赤黒く見える時間帯があります。
それは、この日が皆既月食だからです。では皆既月食とは、どんな現象なのでしょう。
そしてそれはどうして起きるのでしょう。
※2010年12月の皆既月食(撮影:2010年12月21日午後4時41分 室蘭市イタンキ浜)
地球も月も、太陽の光を反射して輝いています。
月は29日と約半日をかけて地球の周りを一周しています。
わたしたちの住む地球から見ると、月は日に日に満ちたり欠けたりして見えます。
この地球の影の部分を月が通過することにより、月が暗くなったり、
欠けたように見える現象が『月食』です。
月食は、太陽と地球と月が一直線に並ぶとき、つまり、満月のときにだけ起きます。
ただし、満月のたびに月食になるわけではありません。
それは、地球から見た太陽の通る軌道に対し、月の通る軌道が約5度傾いているため、
ふだんの満月は、地球の影の北側や南側にそれた位置を通ります。
さて、10月8日の皆既月食は、月食の始まりから終わりまで、
すべての経過を観察することができます。
では月食中、月はどのように変化して見えるのでしょう。
この日、室蘭の月の出は、午後4時58分です。
その後5時14分から月は『半影』という地球の薄い影の部分を通り過ぎ、
6時14分、本影という地球の濃い影の部分に入ります。
それまでぼんやりと見えていた満月が欠け始めます。これを『部分食』といいます。
7時24分、月全体が地球の本影に入ります。いよいよ『皆既食』の始まりです。
ただし、月はまったく見えなくなるのではなく、ぼんやりと赤黒い色に見えます。
午後7時54分の食の最大をへて、8時24分、皆既食が終わります。
月は地球の影から少しずつ姿を現します。
9時34分、部分食が終わって月全体が見えますが、
まだ半影の中にいるため月はぼんやりとしています。
午後10時35分、月は地球の影からすっかり出てきます。
これで月食は終わりです。月はいつもの満月に戻ります。
ところで、2004年から今年まで、日本で観測可能な皆既月食は5回しかありませんでした。
次の皆既月食は来年の4月4日、その次は2018年の1月31日と予想されています。
皆既月食を見られるチャンスはあまり多くはありません。
真夜中や夜明け前に比べ、今回の月食は観察しやすい時間帯に起こります。
月食の全経過を見られる10月8日は、ぜひ晴れることを期待したいです。
なお、皆既月食については、室蘭市青少年科学館のプラネタリウムで
わかりやすく解説していますので、ぜひご来館ください。
☆室蘭民報 2014年9月28日朝刊掲載
スポンサーサイト
十五夜
9月8日は中秋の名月、お月見の日です。
古くから旧暦8月15日にあたるこの日に月を眺める風習がありました。
『十五夜(じゅうごや) 』とは旧暦の毎月15日の夜のことですが、
特にお月見をする旧暦8月15日の夜をさすことが多いようです。
※室蘭港の白鳥大橋と満月(撮影:2014年7月12日午後7時19分)
中秋の名月の前夜、またはその夜の月のことを『待宵(まつよい)』といいます。
昔は、お月見が花見と並ぶ庶民の楽しみであったことから、
名月の夜が楽しみで待たれる、という意味でこう呼ばれたと思われます。
また、『十三夜 (じゅうさんや) 』といえば、旧暦9月13日の夜の月のことをいい、
旧暦8月の十五夜の月に対し、『後の月(のちのつき)』と呼ばれます。
この日お月見をすると縁起が良いとされていました。
十五夜は中国から伝えられたものですが、十三夜は日本独自の風習で、
秋の収穫祭を兼ねていたのではないか、という説もあります。
今年の十三夜は、10月6日です。
さて、十五夜が必ず満月になるとは限りません。
9月の満月は、十五夜の翌日の9日です。
来年の十五夜は9月27日ですが、満月になるのはやはり翌日の28日です。
今後、十五夜と満月が一致するのは2021年です。
この年の十五夜は9月21日で、この日はちょうど満月になると予想されています。
(末岡外美夫著『人間達(あいぬたり)の見た星座と伝承』)というそうです。
なお、来月の満月は10月8日ですが、
この日は皆既月食の全経過を観察することができます。
皆既月食については次回の本欄で紹介しますが、
室蘭市青少年科学館のプラネタリウムでわかりやすく
解説していますので、ぜひご来館ください。
☆室蘭民報 2014年9月7日朝刊掲載