コップ座
わたしたちの知っている星座の多くは、今からおおよそ5千年前の
メソポタミア地方の人々によってつくられたと言われています。
そして、それらをまとめたのが2世紀の天文学者・プトレマイオスで、
これ以後ヨーロッパやアラビアなどでは統一された星座が使われるようになり、
『トレミーの48星座』として現代に伝えられています。
その後星座は、近世の天文学者により、主に南天の星座などが加えられ、
1928年の国際天文学連合で現在の88星座が定められました。
今回紹介する春の星座『コップ座』は、代表する星が
4等星のアルケス(アラビア語でコップの意)で、暗い星ばかりの小さな星座ですが、
トレミーの48星座に数えられる歴史と伝統のある星座です。
コップ座とは言うものの、ジュースなどを飲むガラスのコップではなく、
六角形と四角形を組み合わせたような形で、星座絵には、
優勝カップのように両側に耳のついた、古代ギリシャの立派な
盃のように描かれています。
ギリシャ神話では、酒の神のディオニュソスが使っていた盃とも、
音楽の神アポロンが使っていた盃とも言われています。
コップ座が東の空から昇り始める頃は、コップが真横に倒れ、
中の水がこぼれそうな姿ですが、南の空にさしかかるころには次第にコップの傾きも直り、
西の空ではほぼ水平になって沈みます。
北斗七星の柄の曲がりから、うしかい座の1等星アークトゥルスをへて、
おとめ座の1等星スピカに至る大きな曲線は『春の大曲線』と呼ばれています。
その春の大曲線の終点付近に輝く四辺形の星の並びが『からす座』で、
からす座の向かって右上にコップ座を見つけることができます。
そろそろ夏の気配も感じられる春の宵、
春の星座をたどってコップ座を見つけてみてください。
※室蘭民報 2015年5月17日朝刊掲載
スポンサーサイト