うお座
立冬が過ぎましたが、南の夜空には秋の星座が見頃を迎えています。
秋の星座を探す目印といえば、星が四角形に並んだ『秋の四辺形』が有名です。
この星の並びは、ペガスス座にかかっているので『ペガススの四辺形』とも呼ばれます。
天高くに見えるその四辺形の南東側の角に、アルファベットの『L』字型、
または、ひらがなの『く』の字を押しつぶしたような形に、
やや暗い星が点々と連なっているのが目にとまります。
これが秋の星座『うお座』です。うお座は黄道12星座の一つですが、
3等星以上の明るい星がなく、あまり目立たない星座です。
実は、このうお座の魚は1匹ではなく、古くから伝わる星座絵には、
北側の魚と西側の魚の2匹の魚がひもで結ばれたように描かれています。
そのため、うお座は英語で『Pisces』と複数形で表し、
中国では古くから『双魚宮』や『双魚座』と呼ばれていました。
2匹の魚を結ぶひもについては、ギリシア神話では、
愛と美の女神・アフロディーテとその子エロスが怪物に襲われ、
魚に姿を変えて川に逃げようとしたときに、離れ離れにならないように
互いの体を結んだとされています。
また、メソポタミア文明に由来して、チグリス川とユーフラテス川の2本の川が
合流することを表している、という説も伝わっています。
このうお座を代表する星は、アル・リシャ(アラビア語で『ひも』や『縄』の意味)で、
2匹の魚を結ぶひもの結び目のあたりにあります。
実はこの星は、4.2等と5.1等の連星(2つ以上の恒星が互いに引力を及ぼし合い
共通の重心の周囲を公転運動している天体)であることがわかっています。
秋の南の空には明るい星座が少なく、
古くからこの辺りは海に見立てられていたようです。
うお座は、11月中旬には午後9時頃に南中します。
有名なわりには星のつながりが確認しにくい星座ですが、
晩秋の暗い夜空に浮かぶ2匹の魚を探してみてください。
※室蘭民報 2015年11月15日掲載
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