2016年の天文現象
2016年はどんな天文現象が見られるのでしょう。
まず注目したいのは『カタリナ彗星(C/2013 US10)』です。
この彗星は、2013年にアメリカで発見され、2015年11月に太陽に最接近した後、
徐々に観察しやすくなっています。
1月16日前後には地球に最接近し、このころ5等級の明るさになると予想されているので、
双眼鏡があれば彗星の尾を観察できるかもしれません。
この彗星は、北極星方向へ移動中ですが、1月中旬は、
夜明け前の北東の空、北斗七星でおなじみのおおぐま座付近を注目してみてください。
今年一番注目したいのは、3月9日に起こる『部分日食』です。
日食とは、月が太陽と地球の間に入り、
月が太陽を隠してしまうため太陽が欠けて見える現象で、
太陽・月・地球が一直線に並ぶ新月の時に起きます。
▲2012年に室蘭で観測した部分日食。(撮影:2012年5月21日9時8分 室蘭市だんパラスキー場)
室蘭で日食が見られるのは2012年以来ですが、
今年は太陽の欠ける割合が小さく、
向かって左下が少しだけ欠けた状態に見えます。
欠ける割合(食分)は、稚内で約9%、札幌で約13%と、
南に行くほど大きくなり沖縄の那覇で約34%と予想されています。
さらに南下すると、インドネシア付近では
太陽がすっぽり月に隠れる『皆既日食』になります。
なお、部分日食は、室蘭で午前10時38分に始まり、11時58分に終わります。
5月には火星が地球に接近します。
火星は約2年2カ月周期で地球に近づきますが、
火星の軌道は地球に比べやや楕円になっているため、
その年によって接近する距離が変わります。
2012年は1億kmを超え、前回の2014年は約9,000kmに、
そして今年は約7,528kmまで接近すると予想されています。
国立天文台によると、最も接近するのは5月31日で、
さそり座付近で-2等の明るさで輝き、近くには1等星・アンタレスをはじめ
土星も見られそうです。これから徐々に明るさを増す火星に注目です。
終わりに今年の流星ですが、三大流星群のうち、
8月のペルセウス座流星群は、極大の時刻や月齢の条件が良いので
多くの流星を観察できそうですが、12月のふたご座流星群は、
明るい月の影響で観察条件は良くありません。
※室蘭民報 2016年1月10日掲載予定
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ふたご座流星群 2015
今年も三大流星群の一つ、ふたご座流星群の活動が始まっています。
1月の『しぶんぎ座流星群』、8月の『ペルセウス座流星群』、
そして12月の『ふたご座流星群』。
数ある流星群の中でも毎年安定した活動を示し、出現数が多い
この3つの流星群が特に『三大流星群』と呼ばれ、注目されています。
その三大流星群の中でもふたご座流星群は、毎年ほぼ一定して
多くの流星が見られるため、年間最大の流星群と言われていますが、
今年は特に良い条件に恵まれ、たくさんの流星が見られそうです。
昨年は下弦の月に照らされて観察条件は良くありませんでした。
(2014年12月14日午前2時11分頃 登別市札内町)
ふたご座流星群の活動時期は、例年12月5日ごろから18日ごろまでで、
12月中旬になると徐々に出現数が増加します。
流星群の活動がもっとも活発になることを『極大』といいますが、
今年のふたご座流星群の極大は、12月15日の午前3時頃と予想されています。
この極大が空の暗い時間帯であること、そして流星観察の妨げになる
月明かりの影響を受けないため、最良の流星観察日和になりそうです。
観察できる流星の数は、国立天文台は1時間あたり40個以上と、
そしてある天文雑誌は、暗い場所であれば
1時間に100個以上見られそう、と予想しています。
2等星カストルのすぐそばがふたご座流星群の放射点です。
さて、流星群は空のどの方角を見るといいのでしょう。
極大日のふたご座流星群は、12月14日の午後8時ごろから出現を始めます。
その時間帯のふたご座は、東の空に見えていますが、
ふたご座だけでなく空全体を見渡した方がより多くの流星を見つけやすいでしょう。
特に流星が飛び出す『放射点』(ほうしゃてん)が天頂にさしかかる夜半以降は、
四方八方に流星が飛び出す様子を観察できそうです。
今年の三大流星群は、1月のしぶんぎ座流星群と
8月のペルセウス座流星群がともに厚い雲に覆われ、
満足できる観察ができなかったので、
今月のふたご座流星群はぜひ期待したいところです。
なお、来年のふたご座流星群は、極大が満月の時期と重なるため、
観察条件は今年よりもかなり悪いと予想されています。
☆室蘭民報 2015年12月6日掲載