ペルセウス座
秋の北東の空高くW字型に並ぶカシオペヤ座。
その下に漢字の『人』という字のような星の並びが見えます。
これはギリシャ神話の英雄・ペルセウスを
かたどったペルセウス座です。
▲ペルセウス座(撮影:2018年10月13日午後8時35分 洞爺湖町月浦)
秋の星座ペルセウス座は、ガイドブックによっては
冬の星座に分類されることもありますが、
真冬になると天頂近くにまで上ってしまうので、
比較的低い位置で見られる晩秋の今ごろのほうが
観察しやすいかもしれません。
歴史のある星座で、トレミーの48星座の一つです。
α星はひじまたは腕を意味するとされる2等星のミルファクです。
そしてそのミルファクよりもさらに有名なのが
β星の2等星・アルゴルです。
アルゴルは、ペルセウスが退治したメドゥーサの生首の
額あたりに輝く変光星で、アラビア語で
『悪魔の頭』が由来とされています。
神話に登場するメドゥーサは、髪の毛の1本1本が
生きたヘビで、その恐ろしい姿を見た者は、
すべて石になってしまうという女怪と言われ、
紀元前から現代まで多くの彫刻や絵画が残されています。
この変光星・アルゴルは、2日と20時間59分の
規則正しい周期で、2.1等から3.4等まで明るさを変えます。
これは大小2つの星が回りながら重なったり、
横並びになるために、見た目の明るさが変わるもので、
このような変光星を『食変光星』といいます。
そして、このように短い周期で明るさが変わる変光星を
まとめて『アルゴル型変光星』と呼んでいます。
カシオペヤ座に近いエリア、星座絵ではペルセウスが
振り上げた剣の柄あたりに『二重星団』があります。
これは2つの散開星団が寄り添って並んでいるもので、
少なくとも紀元前150年より前に
発見されていたという記録が残っています。
視力の良い人は肉眼でも見つけることができますが、
双眼鏡を使うと100を超えると言われる星々が
2箇所に密集した姿が見られ、
天文ファンには人気の星団です。
この二重星団までの距離は約7400光年で、
はるか遠い彼方で輝いています。
※室蘭民報2018年11月18日掲載
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みなみのうお座
秋の夜空を見上げると星の数が少なく感じます。
夏や冬に比べ、秋の星座は目立たない暗い星が多いからです。
そんな秋の空で唯一の1等星が、
今回紹介するみなみのうお座のフォーマルハウトです。
▲フォーマルハウトと火星(撮影:2018年10月3日午後7時50分 室蘭市イタンキ浜)
みなみのうお座は、紀元前3200年頃には
すでに知られていたと言われる歴史のある星座で、
プトレマイオスの48星座にも含まれています。
フォーマルハウト以外の星は、
すべて4等星以下と明るい星がありませんが、
その星の並びをたどっていくと、
なんとなく魚の形のように見えてきます。
フォーマルハウトは『魚の口』というアラビア語が由来で、
その名のとおり、古い星座絵には、
みずがめ座から流れてくる水を、
逆さまになった魚が大きな口を開けて
飲み込むように描かれています。
魚の口元で輝くフォーマルハウトは、
25光年の近距離にある星で、
直径は太陽の約1.8倍とやや大きめです。
表面温度は約9300度の高温で
白色の星ということがわかっています。
その周囲には、土星のようなチリの輪が
取り巻いている様子が、2017年に
アルマ望遠鏡により観測されています。
秋の南の空低くぽつんと輝くフォーマルハウトは、
『秋のひとつ星』などと呼ばれていますが、
日本で古くから伝わる呼び名は意外と少なく、
岩手県に伝わる『秋星』というのが該当するのでは、
とする書籍が多いです。
中国では『北落師門(ほくらくしもん)』と呼ばれていた有名な星で、
長安城 ( ちょうあんじょう )の北門の名をとったものと言われています。
また、古代ペルシアでは、レグルス、アルデバラン
、アンタレスとともに、天の4個の『ロイヤル・スター』の
一つとして有名な星だったとの記録が残っています。
今年の秋は、みなみのうお座のやや西寄りの
やぎ座付近に火星が輝いています。
7月末に15年ぶりに地球に大接近した火星は、
10月中旬になってもマイナス1等級と明るいので、
今年の秋の南の空には
明るい二つの星を見ることができます。
※室蘭民報 2018年10月14日掲載