いぶりの☆星空散歩 2019年11月
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おうし座

今日から12月。いよいよ冬本番となり

これから寒さが厳しくなりますが、

夜空を見上げると冬の星座が輝いています。


冬の星座の先駆けとして、

すでに晩秋から東の空に登場していたのがおうし座です。


127-おうし座_E9A0531

▲未明の西の空に沈むおうし座(撮影:20151214日午前37分、登別市札内町)


おうし座には有名な星の集まりがあります。

日本では古くから『すばる』と呼ばれていたプレヤデス星団です。

この星の集まりは、およそ120個と言われる星からなる散開星団で、

肉眼でも6~7個の星を見ることができます。


おうし座のアルファ星は、赤く輝く1等星のアルデバランです。

星座絵には、アルデバランは牛の右目のあたりに描かれています。

アルデバランのそばには、『∨』字型に並ぶ星々が見えますが、

これも同じく散開星団のヒアデス星団です。


おうし座の隣で五角形に並んでいる星座は、

冬の星座・ぎょしゃ座ですが、その5つの星のうちの一つは、

おうし座のベータ星で2等星のエルナトです。

エルナトは牛の左の角の付近で輝いています。


星図(掲載用)おうし座

 

おうし座は、5~6月の一時期を除いてほぼ1年中見えるので、

おうし座の2つの星団には、日本各地に

さまざまな呼び名が伝えられています。

時計やスマホのない時代には、時刻や季節を知る手段として、

漁や農耕の目安するなど、生活に深く関わっていたようです。


ヒアデス星団の並びは、ツリガネボシやカネツキボシなど、

お寺の鐘に見立てているのがよく知られています。


そしてすばることプレヤデス星団。

すばるで思い出されるのが、清少納言の『枕草子』の

有名な一節「星は、すばる、ひこぼし・・・」です。

これについて野尻抱影氏は、清少納言が参考にしたのは、

平安時代中期に源順(みなもとのしたごう)が編纂した

『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』ではないかとし、

『昴星(すばる)』という文字が書かれている

もっとも古い文献と紹介しています。

       (『日本の星 星の方言集(中公文庫版 2005年)』)。


プレヤデス星団は、すばるのほか、スマル、ムツラボシなど

全国にさまざまな呼び名が伝わっています。

北海道に伝わる呼び名もたくさんあり、

『日本の星名辞典』(北尾浩一著・原書房 2018年)は、

スバル(古平町)、スバレ(神恵内村)、

ムヅラボシ(函館市、積丹町、泊村)、ムジナボシ(せたな町)、

ウズラボシ(八雲町熊石)などを挙げています。


アルデバランは、アラビア語で「あとに続くもの」の

意味と言われています。これは、アルデバランが

プレヤデス星団に続いて東の空に昇ってくるためで、

日本でも同じように「スバルのアトボシ」や

ムズラのアトボシ」などの呼び名が伝わっています。


 ※室蘭民報 2019年12月1日掲載

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