ネオワイズ彗星
先日、室蘭民報の一面に、同社の記者さんが撮影した
彗星の写真が掲載されていました。
久々に肉眼で観察できる『ネオワイズ彗星』です。
ネオワイズ彗星(C/2020 F3)は、今年の3月に発見され、
日本時間の7月4日に太陽にもっとも接近(近日点通過)しました。
そのころ明け方の空に1等星ほどの明るさで姿を現し、
北半球の国々で話題になりました。
その後、7月中旬になると日没後のほうが見やすくなっています。
▲大黒島とネオワイズ彗星(撮影日時:2020年7月16日午後8時31分 室蘭市絵鞆町)
彗星は、ほうきのように長い尾を引いて見えるので
『ほうき星』とも呼ばれます。本体の大きさは数キロメートルから
数十キロメートルの小さな天体で、このネオワイズ彗星の直径は、
およそ5キロメートルと推定されています。
彗星の本体は、ガスが閉じ込められた
氷と細かい塵のかたまりと言われています。
天文雑誌などでは、表面に砂がついた
「汚れた雪だるま」にたとえられます。
彗星が太陽に近づくと、太陽熱で彗星本体の表面が少しずつとけだします。
その時に本体の氷が蒸発し、ガスと塵も表面から放出されます。
その結果、彗星の本体がぼんやりとした淡い光に
包まれるように輝いて見えます。
▲彗星の尾の区分(提供:国立天文台)
さらに放出された塵やガスは、太陽から出ているエネルギーの風の影響で、
太陽とは反対方向に流され、これが尾を引いてほうきのように見えます。
彗星の尾は、図のようにガスが作る
『イオンの尾(または、プラズマの尾)』と、
塵が作る『ダストの尾(または塵の尾)』の大きく2種類に分けられます。
彗星の見える時期の予想はむずかしいですが、
ネオワイズ彗星は8月上旬ごろまでは見ることができそうです。
本稿執筆時(19日)は、日没後の午後8時ごろから
午後10時過ぎまで見えています。
これからは、日々高度が上がり観察しやすくなりますが、
光度は日に日に落ちて暗くなっていくでしょう。
視力の良い人は肉眼でも見つけることができますが、
双眼鏡があれば観察しやすく、彗星のかたちがよくわかります。
今夜晴れていれば西北西の空に見えますが、
これからは少しずつ西寄りに位置を変えていきます。
彗星の見える時間と位置がわかる無料アプリが出ているので、
スマートフォンをお持ちの方は参考にしてみてください。
※室蘭民報 2020年8月2日掲載