火星が接近
昨日は秋の彼岸の入りでした。
時々夕景を撮影していますが、秋の彼岸のころの室蘭の夕焼けは、
他の季節に比べ、いちだんときれいに染まると感じます。
▲前回接近時の火星(撮影:2018年9月1日20時49分 豊浦町字礼文華)
さて、夕焼けの時間帯が終わり、空が暗くなると、
東の空に赤く輝く星が目立っています。
10月6日に地球に接近する火星です。
地球や火星などの太陽系の惑星は、それぞれ違う軌道や周期で、
太陽の周りを公転しています。
このため、惑星同士の位置関係はいつも変化しています。
地球は、365日で太陽の周りを1周しますが、
地球よりも太陽から離れている火星は、
1周するのに約687日もかかります。
そのため火星よりも公転速度が速い地球は、約780日、
およそ2年2カ月ごとに、火星に追いつき追い越します。
このとき、火星と地球の距離が近くなるので『火星の接近』と呼ばれます。
地球の公転軌道がほぼ円に近いのに比べ、火星の公転軌道は
楕円になっているため、接近時の距離はそのたびに変わります。
前回、2018年の接近時には、5,759万キロメートルまで近づき、
視直径が24.3秒角と大きく見えました。
これほど近づくのは15年ぶりのことで『大接近』と表現されました。
今回の接近は、前回ほどではありませんが、
距離が6,207万キロメートル、視直径は22.6秒角と、
前回のおよそ95%の大きさに見えます。
このため今回の接近を天文雑誌などは『準大接近』と表現しています。
ちなみに、地球と火星は今後2年2カ月たつと再び接近しますが、
このときの視直径は今回より小さく、17.2秒角にしかなりません。
次に20秒角を超える大きさになるのは
2033年まで待たなくてはなりません。
今回もっとも接近するのは10月6日ですが、
明るさがマイナス2等級を超える観察しやすい期間は、
9月から11月上旬まで長く続きます。
西の空には、この夏輝き続けていた木星と土星が見えています。
また、日ごろ観察しにくいと言われる水星も10月上旬には
観察の好機を迎えます。
秋の星座は、1等星のフォーマルハウトを除くと暗い星が多く、
秋の夜空は地味な印象ですが、今年の秋は火星をはじめ惑星が輝く、
例年とは違った夜空になりそうです。
※室蘭民報 2020年9月20日掲載