いぶりの☆星空散歩 2021年09月
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やぎ座

「星を観察するにはどこがいいですか?」と
よく聞かれます。

天の川が見えるほどの空が暗い場所となると、
街明かりのない山奥になります。
そのような場所は、遠いうえに熊に出会う危険性があり、
虫さされ対策も必要です。

もっと手軽に星を観察できる場所は?
おすすめは室蘭から白老にかけての海岸です。
大型店や遊戯施設などがあると明るい照明の影響を受けますが、
そういう明るいエリアを避けると、
星々がしっかり見える場所がたくさんあります。

特に季節の星座は、南の空を観察する機会が多いですが、
このあたりの海岸から南の方向には街明かりはありません。
以前は漁火がたくさん見えましたが、
ここ数年は減ってきているように感じます。


154-やぎ座110A4945

▲やぎ座付近で輝く木星と土星(撮影:202196日午後813分 登別市栄町)

この写真は、登別市栄町の海沿いにある
コンビニの近所で撮りました。
画面の右側には街明かりの影響が少し見られますが、
中央から左側は星々がしっかり写っています。

さて、写真をよく見ると、明るい2つの星のそばに、
三角形を逆さまにしたように星が並んでいます。
これはやぎ座です

秋の星座・やぎ座は、3等星以下という暗い星の
集まりですが、三角形を逆さまにした星の並びは、
暗い星が多い秋の星座の中でも、見つけやすい星座です。

星座絵を見ると頭はヤギなのに、
下半身は魚という不思議な形をしています。
これは、西隣のいて座が半人半馬なのと同様に、
西アジアの星座が起源とされ、
バビロニアの古い彫刻にこの形が残っていると言われています。
トレミーの48星座に数えられる歴史ある星座で、
また、太陽の見かけの通り道にある黄道十二星座のひとつです。

α星は4等星のアルゲディで、
アラビア語の「子ヤギ」が由来とされています。
実はこの星は2つの星が並んでおり、
視力の良い人なら肉眼で見分けられるほどで、
この写真も等倍に拡大すると2つの星が並んで写っています。

明るい方の星はαと呼ばれ、明るさは3.56等。
暗い方はαで明るさは4.24等です。
この2つの星は物理的な連星ではなく、
αは地球から約100光年の距離があり、
α1はさらにその約5倍以上離れています。
この星座が作られた大昔には、
2つの星がもっとくっついて見えていて、
今よりも輝いていたと思われます。


星図(掲載用)やぎ座


そしてβ星は、3等星のダビーでこの星も二重星です。
このα星とβ星の2つの星がヤギの角にあたります。

やぎ座で一番明るい星は、δ星のデネブ・アルゲディで、
明るさは2.83等。星座絵ではヤギのしっぽ付近にあり、
文字通りアラビア語の『ヤギの尾』が由来です。

やぎ座のさがし方ですが、例年であれば
「秋のひとつ星と呼ばれるみなみのうお座の
1等星・フォーマルハウトの右上(西寄りのやや上)。」
と紹介するところですが、
今年の秋は『真夜中の明星』とも呼ばれる木星、
そして土星が同じやぎ座で輝いているので
見つけやすいと思います。


 ※室蘭民報 2021年9月26日掲載



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