いぶりの☆星空散歩 2021年10月
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金星食

先日、夕方西の空に見える明るい星はなんという星ですか?
という問い合わせがありました。
「今まで見えなかったのに、急に見えるようになって・・・」と
不思議に思って電話したようです。

その明るい星は、宵の明星『金星』です。
今年の7月ごろから西の夕空に見えていましたが、
高度が低かったため、西の方向に大きな建物や山などが
ある地域では、見えにくかったと思われます。
このところ金星の高度が上がり、日没も早くなったので
目立つようになってきました。

金星は、10月30日に太陽からもっとも離れて見える
『東方最大離角』となり、見やすい時期に入っています。
これからさらに明るさが増し、12月4日に最大光度となります。
その時期には、1等星の約100倍の明るさで輝きます。


156 金星食A08X1142
▲2012年に室蘭で見られた金星食(撮影:2012年8月14日午前4時43分 室蘭市祝津町)



さてその金星は、明日・11月8日の午後、1時間ほどですが、
一時的に見えなくなってしまいます。
これは金星の手前を月が通過することによる
『金星食(きんせいしょく)』が起きるためです。
このめずらしい天文現象を北海道で見られるのは、
2012年8月以来9年ぶりのことです。

明日の金星食を室蘭で見られる時間帯ですが、
13時42分ごろに金星は、
南の空に見える月齢3.3の月の陰に入り始めます。
これを『潜入(せんにゅう)』と言います。
潜入開始から1分30秒ほどで金星の全体が見えなくなります。

月の陰の中央を通過するのが14時15分ごろ。
そして月の西側から姿を見せ始めるのは14時47分ごろです。
これを『出現(しゅつげん)』と言います。
出現開始から1分30秒ほどで金星全体が見えるようになります。



星図:掲載用(金星食)_08X0485


さらに、その日の夕方は、三日月形の月のすぐそばで宵の明星が輝く、
という美しい光景が見られることでしょう。

このめずらしい金星食は、2022年と2023年にも起きますが、
この年に日本で見られるのは南西諸島だけです。
2029年には、北海道のごく一部で見られると予想されています。 

金星が明るく見える時期とはいえ、
明日の金星食は、空が明るい日中に起きます。
肉眼では見えにくいので、
双眼鏡や望遠鏡があれば観察しやすいと思います。
ただし、誤って太陽に望遠鏡などのレンズを向けると
目を痛めてしまうので注意してください。


 ※室蘭民報 2021年11月7日掲載

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十三夜・後の月

三日月や半月そして満月など。
私は月を見るのも、撮るのも好きです。

インターネットやスマホはもちろんのこと、
電気による照明がなかった時代に暮らしていた昔の人々は、
現代に生きるわたしたちよりもはるかに多くの時間、
月を見ていたと思われます。

月は満ち欠けを繰り返し、日々少しずつ姿を変えます。
月が毎日同じ形に見えていたら、
これほど鑑賞の対象にはならなかったかもしれません。

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▲旧製油所の煙突と十三夜の月(撮影:2021年9月19日午後6時23分 室蘭市陣屋町)

霞や霧もなく、夜空を舞う雪もない。
昔の人々は、月を鑑賞するのは秋が良いと伝えています。

中でも旧暦8月15日の月は『中秋の名月』と呼ばれ、
古くは中国から伝わった月見の風習が、
平安時代にはおもに貴族の間で行われていたのが、
江戸時代のころには庶民にも広まったと言われています。

さらに昔の人々は、旧暦9月13日の月も
『十三夜』や『後の月』と呼んで鑑賞していました。
これは日本だけの風習とされており、
秋の収穫祭を兼ねていたという説もあります。
この時期は、栗や豆を収穫する時期にあたるので、
『栗名月』や『豆名月』などとも呼ばれます。

この『後の月』という呼び名は、
中秋の名月の翌月にちなんで、という説や、
昔の秋は、おおむね旧暦7月から9月までとされており、
秋の最後の月なので後の月と呼んだ、
などという説があります。

中秋の名月の時期は新暦の9月にあたり、
台風や秋雨などの影響で、
天候の良くない日が多い年もあります。

一方、十三夜は新暦の10月ごろにあたり
秋晴れの日が多く、空気も澄んできて
月見には良いシーズンになります。

「中秋の名月、十年に九年は見えず」と
いう言い伝えがあるのに対し、
「十三夜に曇りなし」というのもあり、
妙に納得させられます。

なぜ、月が丸く見える十五夜ではなく、その2日前の
十三夜に月見をする習慣ができたのでしょう?
『十五』、『十四』そして『十三』と月齢が若くなるほど、
月の出の時刻は早くなります。
もしかすると、夜の冷え込みが始まる前に月見をしよう、
という知恵がはたらいたのかもしれません。

室蘭では先月の中秋の名月を、
雲の間に見ることができました。
昔から「十五夜の月を見たら、十三夜の月も見ないと
『片見月』や『片月見』といって縁起が良くない」
とされていました。

ちなみに、今年の十三夜は、明日10月18日です。
室蘭の月の出は午後4時10分で、
ほぼ東の方角から昇ってきます。

最近は晴れていると日中暖かくても、
夕方以降は急激に冷え込みます。
暖かくして十三夜の月をご覧ください。

 

 ※室蘭民報 2021年10月17日掲載


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DENZAI環境科学館の天文ガイド

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