深い部分月食とすばる
先週見られた部分月食は、
食分が0.978とかなり深い部分月食でした。
国立天文台は、
これほど深い部分月食は1961年以来で、
次回は2086年と予想しています。
食の最大のころには
月の周りの夜空がしばし暗くなり、
それまで見えていなかった
日本では『すばる』と呼ばれる
プレアデス星団が写っていました。
スポンサーサイト
部分月食
今年の5月26日に、ほぼ3年ぶりに皆既月食が起きました。
胆振地方は天候に恵まれたので、
赤黒い色の満月を見られた方が多かったと思います。
惜しくも見逃した方にはもう一度チャンスが訪れます。
それは今週・11月19日の夕方に起きる部分月食です。
月食とは、太陽の光によってできる地球の影に月が入り込み、
月が一時的に赤黒っぽく見える現象です。
その月食には、月が地球の影によってすべて隠される『皆既月食』と、
月の一部が隠される『部分月食』があります。
▲部分食中の満月(撮影:2018年1月31日22時15分 登別市札内町)
今週起きるのは部分月食ですが、
月の大部分が影の中に入り込む、めずらしい部分月食となります。
月が地球の影の中に入り込む程度、または、
影に覆われる月の直径の割合を『食分(しょくぶん)』という数値で表します。
その値が大きいほど影の中に月が入り込み、
1.0以上で皆既月食となります。
今回の月食の最大食分は、およそ0.978で、
これは月の直径の97.8%まで影に入り込む、
部分月食としてはとても大きな値です。
食分の値が大きいことを、しばしば「深い」と表現しますが、
今回のような月食は「たいへん深い部分月食」、
または「限りなく皆既に近い部分月食」と言われています。
さて、今回の部分月食はどのような経過で見えるのでしょう。
11月19日の室蘭の月の出は16時8分です。
部分食の始まりは16時18分なので地平線から月が昇り、
満月の姿がすべて見えた直後に部分食が始まります。
そして月は昇りながら少しずつ欠けていき、
月がもっとも欠けて見える食の最大は18時2分ごろです。
皆既月食の場合には、完全に影の中に入った月が
赤黒い色になって見えることが多いですが、一方、
多くの部分月食は影の部分の色は暗くなるだけで、はっきりしません。
ただし、今回の部分月食は食分が大きいので、
食の最大のころには、影に入った部分が赤黒く見えるかもしれません。
その後、月の欠けた部分が少しずつ小さくなり、
19時47分に部分食が終わります。
ここまでの部分食の経過は、肉眼でも確認することができます。
5月の皆既月食は、夏の星座・さそり座付近で起きましたが、
今回は冬の星座おうし座付近で見られます。
食の最大のころには、夜空が一時的に暗くなるので、
月のそばにヒヤデス星団や、そして、日本では『すばる』と呼ばれる
プレヤデス星団の美しい姿が見られるかもしれません。
※室蘭民報 2021年11月14日掲載