夏の大三角と北極星
星座をさがすのに便利な星の並びは、
四季それぞれにあります。
秋は四角形ですが、冬、春そして夏は三角形です。
今回はその一つ『夏の大三角』の紹介です。

▲夏の大三角(撮影:2016年5月27日21時40分 登別市札内町)
夏の大三角を形づくるのは3つの1等星です。
一番明るいのがこと座のベガ。
実視等級(見かけの明るさ)が0.03と1等星の中では5番目、
北天で見える1等星の中では3番目に明るい星です。
中国名は『織女星(しょくじょせい)』、日本では
『おりひめぼし』と呼ばれていました。
2番目に明るい星がわし座の1等星アルタイル
(実視等級:0.77)です。
天の川をはさんでベガの対岸に位置しています。
中国名は『牽牛星(けんぎゅうせい)』、
日本では『ひこぼし』と呼ばれていました。
この2つの星は七夕伝説の主役です。
星座伝説の多くはギリシア神話に由来していますが、
この七夕伝説は中国から伝わってきました。
三角形の3番目の星は、はくちょう座の1等星デネブ(
実視等級:1.25)で、天の川に羽を広げる
白鳥のしっぽに位置しています。
はくちょう座は、十字型に星が並んで見えることから
『北十字(きたじゅうじ)』とも呼ばれています。
この北十字はクリスマスの頃に直立して見え、
デネブはその十字の頂点に輝いています。
地球からこの3つの星までの距離は、
天文年鑑2022年版によると、ベガは25光年、
アルタイルは17光年、そしてデネブは
3200光年とされています。
デネブがはるか遠くにある星なのに1等星として見えるのは、
実は太陽の数万倍の明るさで輝く、
質量の大きな超巨星だからです。
3つの星の中で一番暗く見えるデネブですが、
実際はもっとも明るいのですね。
この夏の大三角付近には、夏の星座がいくつか見えます。
三角形の中には『こぎつね座』や『や座』があり、
わし座のすぐそばには『いるか座』も見えます。
いずれも暗い星ばかりの目立たない星座ですが、
夏の大三角を目印にするとさがしやすいでしょう。
冬と春の大三角はほぼ正三角形に近い形をしていますが、
夏の大三角はたてに長い二等辺三角形のような形をしています。
ベガとデネブを結んだ線を軸として、
先端にあるアルタイルをつまんでひっくり返すようすると、
北極星付近にぶつかります。
北の方角の目印・北極星のさがし方は、
北斗七星やカシオペヤ座からたどるのが有名ですが、
これからの夏の時期には、夜空に見える夏の大三角から
北極星をさがしてみてはいかがでしょう。
※室蘭民報 2022年6月19日掲載
スポンサーサイト