いぶりの☆星空散歩 2022年06月
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夏の大三角と北極星

星座をさがすのに便利な星の並びは、
四季それぞれにあります。
秋は四角形ですが、冬、春そして夏は三角形です。
今回はその一つ『夏の大三角』の紹介です。

166-夏の大三角ち北極星_E9A5752
▲夏の大三角(撮影:2016年5月27日21時40分 登別市札内町)

夏の大三角を形づくるのは3つの1等星です。
一番明るいのがこと座のベガ。
実視等級(見かけの明るさ)が0.03と1等星の中では5番目、
北天で見える1等星の中では3番目に明るい星です。
中国名は『織女星(しょくじょせい)』、日本では
『おりひめぼし』と呼ばれていました。

2番目に明るい星がわし座の1等星アルタイル
(実視等級:0.77)です。
天の川をはさんでベガの対岸に位置しています。
中国名は『牽牛星(けんぎゅうせい)』、
日本では『ひこぼし』と呼ばれていました。

この2つの星は七夕伝説の主役です。
星座伝説の多くはギリシア神話に由来していますが、
この七夕伝説は中国から伝わってきました。

三角形の3番目の星は、はくちょう座の1等星デネブ(
実視等級:1.25)で、天の川に羽を広げる
白鳥のしっぽに位置しています。
はくちょう座は、十字型に星が並んで見えることから
『北十字(きたじゅうじ)』とも呼ばれています。
この北十字はクリスマスの頃に直立して見え、
デネブはその十字の頂点に輝いています。

地球からこの3つの星までの距離は、
天文年鑑2022年版によると、ベガは25光年、
アルタイルは17光年、そしてデネブは
3200光年とされています。

デネブがはるか遠くにある星なのに1等星として見えるのは、
実は太陽の数万倍の明るさで輝く、
質量の大きな超巨星だからです。
3つの星の中で一番暗く見えるデネブですが、
実際はもっとも明るいのですね。

166-星図夏の大三角と北極星

この夏の大三角付近には、夏の星座がいくつか見えます。
三角形の中には『こぎつね座』や『や座』があり、
わし座のすぐそばには『いるか座』も見えます。
いずれも暗い星ばかりの目立たない星座ですが、
夏の大三角を目印にするとさがしやすいでしょう。

冬と春の大三角はほぼ正三角形に近い形をしていますが、
夏の大三角はたてに長い二等辺三角形のような形をしています。
ベガとデネブを結んだ線を軸として、
先端にあるアルタイルをつまんでひっくり返すようすると、
北極星付近にぶつかります。

北の方角の目印・北極星のさがし方は、
北斗七星やカシオペヤ座からたどるのが有名ですが、
これからの夏の時期には、夜空に見える夏の大三角から
北極星をさがしてみてはいかがでしょう。

 

 

 ※室蘭民報 2022年6月19日掲載

 

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