ペルセウス座流星群 2022
さそり座
夏休みが始まるころになると、
夏を代表する星座・さそり座が見つけやすくなります。
さそり座は、夏の南の空でアルファベットの
S字型のカーブを描くように並び、
下半分が天の川にかかるように見える星座です。
この画像では、さそりのしっぽのあたりが、
惜しくも室蘭の市街地を覆う霧の中に隠れています。
▲さそり座と天の川(撮影:2021年6月28日20時52分、室蘭市香川町)
有毒生物として知られるサソリは、
しっぽの先に毒針を持っていますが、
神話のさそり座は、傲慢なふるまいのオリオンを
こらしめるために、天の神々が放った毒サソリで、
オリオンを成敗した功績をたたえて、
天に上げられ星座になったと伝えられています。
これは、さそり座とオリオン座が、
見かけ上およそ180度離れており、
さそり座が昇ってくるころに、
オリオン座が逃げるように沈むため、
この天文現象をもとに星座神話がつくられたのではないか、
と言われています。
日本では、しっぽのカーブを
大きな釣り針に見立てていたようで、
『魚釣り星』や『鯛釣り星』などの
呼び名が残されています。
さそり座のα(アルファ)星は、赤く輝く1等星のアンタレス。
ギリシア語で『火星に対抗するもの』と
いう意味の赤色超巨星です。
アンタレスが赤く見えるのは、表面温度が
約3,500度と低いため、と言われています。
日本では古くから『赤星(あかぼし)』などと呼ばれていました。
さそり座の頭の部分に輝く2等星は、
δ(デルタ)星のジュバです。
このジュバは、2.3等から1.6等の範囲で、
不規則かつ急激に明るさが変わる変光星です。
この変光が起きる原因について国立天文台は、
高速で回転するジュバから放出されたガスが、
しばしばこの星の赤道周囲に円盤のようなものを作ることで、
光度が変化するのではないか、と推定しています。
このジュバが1.6等まで明るくなると、
さそり座の印象もやや違って見えます。
さて、アンタレスとよく比べられる火星は、
2年2カ月の周期で地球に接近します。
今回は12月1日に最接近するため、
これから少しずつ観察しやすくなります。
7月から8月にかけては、夜半過ぎから
夜明け前の東の空で見つけることができます。
※室蘭民報 2022年7月17日掲載