いぶりの☆星空散歩 2022年10月
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 皆既月食 2022

明後日・火曜日には、

めずらしい『皆既月食』が起きます。

皆既月食とは、太陽によってできる地球の影が

月をかくす天文現象です。


171-皆既月食20222018AG1I7487

▲皆既月食中の満月(撮影:20181312218分 登別市札内町)

月が影に入ると少しずつ欠けていき、
やがて元に戻るのですが、皆既中の月は、
この画像のように赤黒っぽくなり、
なんとも不思議色に見えます。

月食は、太陽・地球・月が一直線に並ぶ時、
つまり満月の夜にだけ起きます。
ただし、太陽の見かけの通り道(黄道)に対し、
月の見かけの通り道(白道)が傾いているため、
だんの満月は、地球の影の北側や南側に
それたところを通ります。
そのため、満月のたびに月食が起きるわけではありません。

明後日の皆既月食は、
室蘭でどのような経過で見えるのでしょう。
地球の影には、『本影(太陽光がほぼさえぎられた濃い影)』と
『半影(本影を取り囲む薄い影)』に分けられます。
17時ごろ、月はまず半影の中に入ります。
これを『半影食』といい、普通の月よりはやや暗く見えるものの、
半影は薄い影なので、肉眼でははっきりわかりません。

次に18時8分ごろから、月の一部が地球の本影に
入り始める『部分食』が始まります。
ここからは肉眼でもしっかりと月の変化がわかります。

星図(掲載用)皆既月食

そして月の欠けている部分が広がり、
いよいよ月全体が本影の中に入る『皆既食』が始まります。
皆既食は、19時16分ごろから始まり、
19時59分ごろの食の最大を経て、20時42分ごろに終わるまで、
およそ1時間半も続きます。
皆既中の月は『赤銅色』と表現される、
赤黒っぽい色に見えます。
これは地球の大気を通った太陽光のうち、
赤い光だけが残って月を照らすためですが、
今回の月食は、本影の中心付近を通るため、
いつもの月食よりも、月は暗くなると予想されています。

その後、月は本影から出てくるにしたがい、
赤銅色の部分が少しずつ少なくなり、
部分食が終わるのが21時49分ごろ、
そして半影食が22時57分ごろに終わり、
いつもの満月に戻ります。

満月の夜は、月明かりで周囲の星々が見えにくくなりますが、
皆既中は空が暗くなって一時的に星々が見やすくなります。
今回、皆既中の月の左側(東側)に、
おうし座の『すばる』ことプレアデス星団が見られ、
赤銅色の月との対比が楽しみです。

次に皆既月食が起きるのは3年後の2025年9月8日ですが、
この日の月食が起きるのは午前3時ごろで
観察しにくい時間帯です。

観察しやすい皆既月食は、2026年3月3日まで、
およそ3年半近く待たなければならないので、
今回の皆既月食はしっかり見ておきたいと思います。

DENZAI環境科学館は、
次のとおり皆既月食の観望会を行います。
ぜひご参加ください。

 

◆皆既月食観望会

○日時:11月8日(火)18:30~20:30

○会場:DENZAI環境科学館2階テラス

○参加料:無料

○内容:皆既月食を天体望遠鏡などで観察します

○その他:曇、雨天などで月が見えない場合は中止です

              入場をお待ちいただく場合があります



 ※室蘭民報 2022年11月6日掲載

 


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やぎ座と土星

秋の夜空は、一年中でもっとも暗く感じますが、
これは秋の星座は明るい星が少ないためです。
ところが今年の秋は、太陽系の惑星・木星と土星が
輝いているのでいつもの秋とは趣が異なっています。

170やぎ座と木星025A5395
イタンキ浜の土星とやぎ座(撮影:2022921日午後733分 室蘭市東町)

今回紹介するやぎ座もほかの秋の星座同様、
明るい星が少なく目立たない星座です。

一番明るい星は3等星のデネブ・アルゲディ。
この星の名前はアラビア語の『ヤギの尾』に由来し、
星座絵にはヤギのしっぽ付近に描かれています。
ほかは4等星以下という目立たない星座ですが、
やぎ座の逆三角形の星の並びは見つけやすく、
トレミーの48星座や、
黄道12星座に数えられる歴史ある星座です。

星座絵には、上半身がヤギで、
下半身が魚という姿で描かれていますが、
これはギリシャ神話に登場する牧神パーンとされています。

『星座の起源』(近藤二郎著、誠文堂新光社 2021年)によると、
この姿は古代メソポタミアの紀元前12世紀ごろの
ものとされるクドゥル(境界石)に描かれており、
このクドゥルはパリのルーブル美術館に保存されています。

明るい星が少ないやぎ座ですが、さがし方は、
夏の大三角のこと座のベガとわし座のアルタイルを結び、
その線をまっすぐ下にのばして行くと、
やぎ座の星の並びにたどり着きます。

170星図山羊座の見つけ方-


今年の秋は、そのやぎ座に土星が輝いているので
さらに見つけやすくなっています。

太陽系の惑星・土星は環があるのが有名です。
先ごろ行った観望会でも人気があり、
望遠鏡をのぞいて環をもつ姿を見つけると
参加者は驚きの声を上げていました。

土星の直径は地球の約10倍もありますが、
水素ガスを主成分とするガス惑星で、その密度は0.69と
水よりも軽いので、もしも巨大なプールに入れると
浮かぶだろうと言われています。

土星の環は、氷や岩などの無数の粒子が集まっているもので、
かつては一つの衛星だったのがあまりにも
土星に近づき過ぎたため、潮汐力によって
無数の粒子に分裂してしまった、
と考えられています。

この環はいつも同じように見えているのではなく、
15年ほどの周期で環の幅が広くなったりせまくなったり、
そして見えなくなることがあります。
それは、土星の自転軸が27度ほど傾いており、
土星が太陽の周りを約29.5年かけて公転しているためです。

土星の環は、幅が広いものの、
厚さは1km以下と考えられていましたが、
ボイジャー探査機によると
数十メートルしかないことがわかりました。

そのため15年ごとに地球から薄い環を真横から見るときには、
環が消えたように見えなくなってしまうのです。

前回土星の環が見えなくなったのが2009年、
次に見えなくなるのは3年後の2025年なので、
これから環の傾きは少しずつ小さくなっていくと予想されます。

 ※室蘭民報 2022年10月23日掲載

 



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DENZAI環境科学館の天文ガイド

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