いぶりの☆星空散歩 2022年11月
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火星が最接近

この秋、小春日和の日が多い室蘭でしたが、
11月16日に初雪が降りました。
季節の移ろいはゆっくりですが、
東の空にはすでに冬の星座が登場しています。

1等星が7個もあり、一年中で一番きらびやかと
言われる冬の星々にまじり、
ひときわ明るい赤い星が見えています。
その星は12月1日に地球に最接近する火星です。


172-『火星が最接近』AG1I4126
▲月齢16の月と地球に接近中の火星(撮影:20221111196分登別市鷲別町)



火星は地球のすぐ外側を回る太陽系の惑星です。
火星の接近と聞くと、火星が地球に向かって
迫ってくるようなイメージですが、
接近とは周回遅れの火星を地球が追い抜く状態をいいます。

陸上競技場のトラックを思い浮かべてみましょう。
地球はインコースを、火星はアウトコースを走っています。
地球は太陽の周りを365日かけて公転していますが、
火星はその倍近くの687日もかかります。
どんどん離れても、また地球は周回遅れの火星に
追いつき、追い越すということを、
およそ2年2カ月ごとに繰り返しています。

星図その2『火星が最接近』(国立天文台)topics01-2-s


地球の公転軌道がほぼ円に近いのに比べ、
火星の公転軌道は楕円になっているため、
太陽と火星の距離は、太陽にもっとも近いところ(近日点)と
太陽にもっとも遠いところ(遠日点)とでは、
4,200万kmも違います。

火星の近日点は地球の軌道上の8月末ごろの方向にあり、
遠日点は2月末ごろの方向にあります。
8月末に『衝(しょう)』(地球から見て外惑星が太陽の反対側に
来る瞬間で明るく見える)になると大接近になり、
2月末になると小接近になります。

今回の衝は12月8日なので、いわば『中接近』となり、
次の最接近は2025年の1月なのでさらに距離が離れます。


星図(掲載用)『火星が最接近』


火星は地球のおよそ半分の大きさで、
二酸化炭素を主成分とする薄い大気に覆われています。
火星が赤く見えるのは、表面の岩石や砂が
酸化鉄(赤さび)を多く含んでいるためです。

自転軸がおよそ25度傾いているので、
地球に似た四季の変化があり、表面の温度は、
夏は平均マイナス60度、冬はマイナス120度と、
かなり寒い惑星です。

火星といえば、私が幼い頃にタコのような火星人の
想像図を見たことがあります。
近年の火星探査機による調査では、
火星人どころか生物もいないようですが、
大昔には海があり、水が流れたような跡が見つかっています。

ところで、この火星は、昨年の7月から今年の2月まで、
およそ半年以上も肉眼では見えませんでした。
接近が近づいた今年の3月ごろから少しずつ見やすくなり、
今では冬の1等星をしのぐほどに輝いています。
この不思議な動きをする火星。
占星術が盛んだった大昔の人々は、どう感じたのでしょう。

 

 

 ※室蘭民報 2022年11月28日掲載

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