いぶりの☆星空散歩 2023年03月
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宵の明星・金星

冬のころ南寄りに沈んでいた太陽は、
3月になってほぼ西の地平線に沈むようになってきました。
明後日・21日は春分の日。
この日の太陽は真西に沈みます。

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▲『カムイヌプリ上空に見える三日月と金星』(撮影:20232221755 登別市札内町)

さて、日が沈んで空が暗くなり始めると、
西の空にひときわ明るい星が目につきます。
それは宵の明星と呼ばれる金星です。

地球と同じ太陽系の惑星・金星は、
地球の内側を公転しているので、日が沈んだ直後の西の空、
または日の出前の東の空でしか見ることができません。

その金星を望遠鏡でのぞくと、
月と同じように満ち欠けしているのがわかります。
月は三日月から半月を経て満月になるにしたがい
少しずつ明るくなりますが、金星は三日月のように
大きく欠けた時がもっとも明るく見えます。

地球・太陽・金星が一直線に並ぶことを
『外合(がいごう)』といいますが、
このときの金星は地球から遠い位置にあり、
ほぼ丸く見えます。
このときの明るさは、およそマイナス3等。

公転によって太陽の東側や西側に見える
最大離角の頃には半月のように見え、
このころの明るさはマイナス4等を超えます。
さらに地球に近づく『最大光度』のころには、
三日月状に見え、マイナス4.5等を超える明るさになります。

金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化(国立天文台)

今年の金星の最大光度は2回あり、
7月7日は西の空で宵の明星として、
9月19日は東の空で明けの明星として、
それぞれかなり明るく見えます。

金星は英語でビーナスと呼ばれます。
一番星として西の空で輝くことが多いので、
昔の人は神話に登場する美しい女神のように
感じていたのかもしれませんが、
実際の金星はまったく違います。

金星の表面大気圧は、海の底深く900mにいるような
圧力を感じる90気圧。
その主成分の二酸化炭素の温室効果のため、
表面温度は470℃を超えるかなりの高温です。

さらにJAXAの金星探査機・あかつきは、
2015年に金星の周回軌道に入り、金星の雲の中には7
5.98%の硫酸が含まれていると観測しています。
もしも金星の雲から雨が降ると
濃硫酸を含む雨になりそうです。

そんな過酷な環境の金星ですが、
かつては地球と双子のような温暖な惑星だった
と考えられています。

1978年に金星に到達したNASAの探査機
パイオニア・ヴィーナスは、
過去の金星に海があった痕跡を発見しています。

小林憲正著『地球外生命』(中公新書 2021年)は、
NASAゴダード宇宙飛行センターの
マイケル・ウェイらによれば、30億年前の金星は
まだ温暖な気候で海も存在していたそうです。
しかし、今から7億年前の巨大火山噴火により
大量に噴出した二酸化炭素により、
急激に温暖化が進行し、現在のような表層では、
生物が住めないような環境になった」と紹介し、
続けて「ということは、現在は温暖な地球環境も
何かのはずみで金星のようになってしまう可
能性も考えられるわけです。」と
地球温暖化に対する警鐘を鳴らしています。


画像午後2


今年の金星は、3年ぶりに高度が40度を超えるので、
いつもの年よりも観察しやすそうです。

 ※室蘭民報 2023年3月19日掲載



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DENZAI環境科学館の天文ガイド

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