いぶりの☆星空散歩 2023年05月
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てんびん座

今年は春の訪れがとても早く、室蘭の桜は4月21日に開花しました。

これは平年の5月4日より13日も早いという、記録的な早さでした。

そのぶん桜の時期が終わるのも早く、

色鮮やかな新緑の時期もあっという間に終わろうとしています。

これも地球温暖化の影響なのでしょうか?


そんな地上の出来事とは関係なく、夜空を見上げると

いつもの年と同じように、春の星座を主役に

夏の星座も登場し始めています。


178-てんびん座110A2780さそり座(左下)とてんびん座(撮影:20216282048 室蘭市香川町)


今回紹介するのは夏の星座・てんびん座です。

星空観察のガイドブックによっては、春の星座に

分類することもありますが、初夏の南の夜空で、

春の星座・おとめ座と夏の星座・さそり座の間に見られます。


一番明るい星が3等星とあまり目立たない星座ですが、

3つの星がひらがなの『く』の字をさかさまにしたような

形に並んでいるのが特徴で、黄道12星座の一つに、

そしてトレミーの48星座に数えられる歴史ある星座です。


かつててんびん座は、さそり座の一部とされた時代がありました。

てんびん座のα星はズベン・エル・ゲヌビで、アラビア語で『南のつめ』。

β星はズベン・エス・カマリで同じく『北のつめ』、

そしてγ星はズベン・エル・ハクハクラビで同じく『サソリのつめ』で、

これらの呼び名はてんびん座がさそり座の一部だった名残のようです。


ではなぜさそり座の一部とされていたてんびん座が

独立した星座になったのでしょう?

現在おとめ座にある秋分点が、歳差運動の影響で古代には

てんびん座付近にあったとされています。

秋分のころは、昼と夜の長さが等しいことから、

その長さが釣り合う象徴として、

てんびん座を独立させたと考えられます。


星図(掲載用)てんびん座


また、一説には正義の女神が人間の善悪を計るツールとして、

このてんびんを使ったと伝えられています。


この正義の女神像は、日本の最高裁判所にも設置されており、

最高裁のホームページには「左手に天秤、右手に剣を持ったブロンズ像は、

ギリシャ神話の法の女神『テミス』をモデルとして作られた『正義』像です。

左手の天秤は『公平・平等』を、右手の剣は

『公平な裁判によって正義を実現するという強い意志』を表しています」

という解説が載っています。


てんびんとなった今では、α星がキファ・アウストラリス(南のかご)、

β星はキファ・ボレアリス(北のかご)という別名を持っています。

なお、このα星は実は2重星で、明るい星が2.8等星、暗い星が5.2等星で、

双眼鏡で見るとわかりやすく、

視力の良い人なら肉眼でも識別できるでしょう。


かつてはさそり座の一部とされていたてんびん座。

多くの方は夏の星座に分類するのが自然だと思うことでしょう。

これについてプラネタリウム解説の大先輩・山田卓氏は、

著書でビバルディの協奏曲『四季』の移り変わりにたとえ

『てんびん座は、春の星空が夏の星空に移り変わるときの、

ほんの短い休止符だ』(夏の星座博物館・地人書館 2005年)という

名解説を残されています。


 ※室蘭民報 2023年5月28日掲載

 


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