全天周映像番組『オデッセイ』
当館に新プラネタリウムがオープンしてまもなく2年になります。
鮮明に再現される星空とともに、好評なのがドーム型の
天井全体に映し出される全天周映像番組で、
これを目的にいらっしゃる常連のお客様が増えてきているのが、
スタッフとしはうれしい限りです。
その全天周映像番組は、11月から
『オデッセイ~はてしなく美しい宇宙~』を上映しています。
▲全天周映像番組『オデッセイ』の一場面。
番組のプロローグは、国際宇宙ステーション(ISS)の
迫力ある映像で始まります。
地上400km上空の宇宙空間に浮かぶISS。
太陽光電池や生命維持装置を備え、6人の宇宙飛行士が
ほぼ6ヵ月交代で乗務し、さまざまな観測や実験を行うなど、
人類が宇宙で暮らすスタートラインとも言えます。
第2幕はスペースシャトルと人類初の月面着陸についてです。
スペースシャトルは1981年から2011年まで、
地球と宇宙空間を何度も往復した有人宇宙船です。
また、今から半世紀以上前の1969年に、
アポロ11号により人類初の月面着陸を成し遂げた場面は、
着陸船イーグルが月面に着陸したシーンを
コンピューター・グラフィック(CG)による
クリアな映像で再現します。
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、
人類にとっては大きな飛躍である」という
アームストロング船長の言葉が印象的です。
月の次は、太陽系惑星の紹介です。
最初に登場するのは人類が目指す火星。
火星は、地球の一つ外側を回る惑星で、半径は地球の約半分、
重力が小さく大気も少ないものの、
自転周期や自転軸の傾きは地球とほぼ同じで、
四季があるとされています。
火星探査機『キュリオシティ』の着陸シーンをCGで再現し、
巨大な火山・オリンポス山や太陽系最大の
マリネリス峡谷などを紹介します。
火星の次は、惑星探査機が訪れた木星や土星をはじめ
準惑星・冥王星に至るまでを美しい映像で再現し、
太陽系の成り立ちへ思いをはせます。
そして終幕は星や銀河の世界へ。
星団や星雲、そして天の川銀河など、高性能な天体望遠鏡で
撮影した画像やCGを交えながら再現します。
宇宙は何もなく静かな世界と思われてきましたが、
この番組全編を通して、宇宙は大変美しく、
生と死が繰り返される活気あふれる
世界であることがわかります。
この作品は、冬休み期間中を除き、
来年の1月末まで投影していますので、
ぜひご覧ください。
なお、この『オデッセイ』は、
2022年に室蘭ロータリークラブさんの
創立85周年記念事業で室蘭市に寄贈していただきました。
今回の投影は昨年秋に続き2回目です。
このように、寄贈していただいた作品は、
毎回番組最後に寄贈された方を紹介させていただくとともに、
期間を置いて繰り返し上映しています。
企業や団体の記念事業や寄付行為などは
さまざまな種類がありますが、
このプラネタリウム番組の寄贈という手法は、
天文情報を広くわかりやすく地域に伝えるうえで
大きな役割を果たすことが可能です。
※室蘭民報 2023年11月26日掲載